【天野光のアーカイブス6】
昨日に引き続き
昭和32年7月の道頓堀文楽座興行の話です。
一部興行です。
外題が
一、勧進帳
ニ、夏祭浪花鑑
釣舟三婦の段
長町裏の段
三、心中紙屋治兵衛
北新地河庄の段
四、ひらかな盛衰記
松右衛門内より逆櫓の段
五、伊勢音頭恋寝刃
古市油屋の段
十人斬りの段
と、なっております。
1日に、5つの狂言!!!
出番を見てみると、
技芸員さんの忙しさに驚きます。
初代玉男さんの出番を見てみますと、
勧進帳で、富樫左衛門。
夏祭浪花鑑で、義平次。
ひらかな盛衰記で、畠山重忠。
伊勢音頭恋寝刃で、お鹿。
「え~、忙し過ぎ!」
もちろん、
他の人形遣いさん、
太夫さん、
三味線弾きさんも
出番多数で
大忙しです。
2派に分裂していた時期なので、
人手不足だったのですね。
名人揃いの座組であるのは
わかっていても
大変だっただろうな、と予想はできます。
将来も人手不足にならないよう
若手の育成を応援していきたいです。
(伊勢音頭恋寝刃のカット絵です。
少ない線で情景を上手く描いている斉藤清二郎さんの技術に脱帽です。)