【天野光のアーカイブス5】
前回の投稿で
昭和31年8月
大阪三越劇場で
三和会が
「伊勢音頭恋寝刃」を上演したことを書きましたが、
因会も翌年7月
「伊勢音頭恋寝刃」を上演していました。
そのパンフレットの解説を抜粋します。
楽屋に来た神蔭流の武芸者が
「これを作られた人は余程剣の心得のある人でしょうな」と言ったので
「いや誰もそんな人はいません」と道八が答えたら
「あの息でないと人は斬れない」
と言ったという話がある。
この十人斬りの所は名人団平の妻お千賀の作に
団平が節をつけたのだが、十人を斬る各々に違った手がつけられてあり、
息、間、撥、どれ一でも死んではいけないもので
雛大夫、八造と息のあった舞台は
一つの文楽教室として聞くべきもの、
人形の玉助と共に見るべき価値があると思う。
以下略
(昭和32年7月道頓堀文楽座パンフレット)