【天野光のアーカイブスその2】
前回の投稿で
昭和31年8月興行パンフレットが
薄い冊子ながら読み応え&見応えが十分でした。
と書かせていただきました。
さて、その内容ですが、
大西重孝氏が
「浄曲化された伝説」というタイトルで作品紹介をしています。
抜粋させていただきます。
下総国羽生村の百姓与右衛門の女房累は生まれつき顔が醜く、
目が1つしかない上に✕✕✕(放送禁止用語)であった。
もともと田畑が目当てで婿となった与右衛門はこの醜い女房と朝夕顔を
つき合わせていることが堪えられなくなって、ついに苅豆の畠帰りに鬼怒川で
殺してしまった。
与右衛門はその後迎える女房は次から次へと死んでゆき、
6人目の女房も菊という娘を生むと間も無く亡くなった。
ところが菊に累の怨霊がのりうつって奇病に悩みだすが、
祐天上人の教化によって累は解脱し、菊も全快する。
この伝説にはもう1つの因縁話がついている。
累の母は助(すけ)という男の子を連れて先代与右衛門の
後添えになったのであるが、その助はちょうど累のように顔が醜く
✕✕✕(放送禁止用語)であった。母はこの子のために離別されるのを
恐れて鬼怒川で殺したというのである。
この伝説は多くの歌舞伎や浄瑠璃に仕組まれたが(後略)
(昭和31年8月パンフレットの挿絵より)