1月20日(金)

大阪大学豊中キャンパスで行われた

『人形浄瑠璃と現代演劇』を受講しました。

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当初の予定は

懐徳堂スタジオが会場だったのですが、

急遽

会場を

共通教育棟B108教室に変更されました。

 

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この日は

関西ではお昼、カミナリが鳴ったり、

雨が降っていたりしたのですが、

会場は

満員になっていました。

住太夫師匠の人気の根強さを

再確認しました。

 

能勢の人形浄瑠璃のリーフレットも

いただきました。

 

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大阪大学演劇学教授 永田靖先生の進行で

講義は進みました。

 

質問者は

狂言をされている院生の中岡さんと

現代演劇をしている阪大生の西田さんでした。

 

西田さん「大学で文学を学んだきっかけは?」

住太夫師匠「勉強は好きでは無かったけど、

     親の勧めで大学に進学した。

     学生時代9人制バレーボールをやっていた。

     野球も好きだった。

     大学出の太夫と新聞に大きく出た。」

 

西田さん「文楽と野球の通じるところは?」

住太夫師匠「口、ノド、肩にチカラが入ってはいけない。

     スポーツでも芸能でも下腹と腰が重要。」

     「古靭太夫は雲の上の人。

     稽古をつけてもらったことは無い。

     他の師匠に稽古をつけてもらった。」

 

     「うちらは音曲。

     音(オン)というのを身につけなあかん。」

三代目長門太夫師匠の床本を持参して下さり、

受講者に見せて、

    「床本の文字が太いのは太い声を出すため。」

語りを実演して下さいました。

    「朗読とは違う。」

    「高い声を出したいときは眉間から裏声を出す。

    美空ひばりの歌が、どこまで地声で、どこから裏声か、わからないのと同様。

    太夫も、どこまで地声で、どこから裏声か、客にわからせてはダメ。」

   「ハングリー精神が必要。」

 

やんごとなき方との交流

 

中岡さん「三和会時代に人形遣いをされていますが、

   これからの太夫さんも人形遣いの経験は必要だと思いますか?」

住太夫師匠「師匠は松竹の後ろ盾があった因会。

     私と父親は三和会。

     自主劇団のようだった。

     夜行の鈍行で東京や仙台に行く。

     多忙で睡眠時間も少なかった。

     外題が昼4つ、夜4つ。

     人形遣いが足りないから、人形遣いの仕事もした。

     勧進帳では嶋太夫はんと一緒に後見もした。

     人形はんは、こんな風にすんねんなぁということがわかった。」

    「日常生活でも芸と関係している。

    日常会話でも声で無く、息が変わることで会話していることがある。」

    「先代燕三さんと『油地獄』の稽古をつけてもらいに

    入院中の弥七師匠のところへ行ったことがある。」

    「キレイな大阪弁。日本の言葉を大切にして欲しい。

    訛(なまり)は国の手形。

    三味線の節も大阪弁になっている。」

    「下手でもいい。

     義太夫らしく浄瑠璃らしくやって欲しい。」

   「まず、好きにならなアカン。」

   「あんたら、狂言やってて

    素直にやれ!って言われるやろ。」

 

   「杉村春子さん、、、

    芝居せんと芝居してる。

    浄瑠璃を語らうんと浄瑠璃を語らなアカン。」

 

後半

西田さん「1989年人間国宝になって、

    気持ちの面、生活面で変わったことは?」

住太夫師匠「芸は変わることは無い。

     有頂天になってはイカン。

     どこまでも勉強。」

 

中岡さん「情を伝えることが大事とおっしゃっていますが、

    住太夫師匠の浄瑠璃が伝えるべき情とは?」

住太夫師匠「情を出そうと思って出せるものやない。

     文章と文章の間、

     文の間(ま)が大事。

     間(ま)が抜けてはいけない。

    太夫三味線にとって

    素浄瑠璃(すじょうるり)は勉強になる。

    人形無しで情景を伝えなくてはいけない。

     文五郎さんに「文楽を流行らそうと思(おも)たら、

      太夫がしっかりしたらええ。」と言われた。

     座頭が太夫。

     太夫が演出を兼ねている。

     昔は厳しいお客さんが居た。

     今の新聞の評も誉めてばかり。

 

中岡さん「ICレコーダー等の録音機材を使って  

    古典芸能を習うことについてのお考えは?」

住太夫師匠「大反対!

     人の舞台を見たり聞いたりして勉強して欲しい」

     「自分の反省材料に多少使うのは良い」

     「四ツ橋文楽座には大きな鏡は無かった」

     「◯◯(敢えてお名前は伏せされていただきます。)は、

     姿見を見るの反対。」

腹巻き(お父様から譲り受けたもの)と

おとしと

尻引も持参して見せて下さいました。

   「必ず2年間、内弟子修行させている」

 

受講者からの質問タイム

 

終了

 

住太夫師匠の講演は

何回か

拝聴させていただいていますが、

学生さんからの質問に答えるスタイルは

初めてでした。

とても、良かったです。

質問者の中岡さんと西田さんの事前準備がよく出来ていたことに

感心しました。

指導の永田靖先生が

住太夫師匠の著作を読んだり、

師匠の舞台を見ておくようアドバイスされたことと思われます。

 

さて、第3回は

ゲストに

桐竹勘十郎師匠をお招きしての講座です。

 

開始時間が

5時半になっていますので

お気をつけ下さい。

会場が

懐徳堂スタジオから変更になるかもわかりません。

その際は

今回同様

わかるように掲示をして下さるそうです。

この日も

雨の中

会場案内をして下さった阪大生の学生さん、

ありがとうございました。

27日(金)第3回も楽しみにしています。