「幸四郎さんは嘘が上手い。」
6月
とある『歌舞伎の講座』で見せてもらった
岩松了さんと松本幸四郎さん(現・白鸚さん)が
出ているテレビ番組のこの言葉が
 
後ほど鑑賞する
岩松了さんのトークイベントと
岩松了さん作・演出の『蒲団と達磨』の伏線になるとは
その時は
思いませんでした。
 
時系列に沿って
 
トークイベントのレポートから
書かせていただきます。
 
2018年6月30日(土)
岩松了さんに聞く「日常に在る演劇」
劇作家・演出・俳優・映画監督・兵庫県ピッコロ劇団代表岩松了
ピッコロ文化セミナー93
聞き手ラジオパーソナリティ田名部真理さん
3:00開演
 
岩松了さん
淡いブルーのYシャツと黒のボトムス&ヒモ靴で登壇
 
上手 岩松さん
下手 田名部さん
 
以下敬称略
 
田名部「肩書が多いですね。」
岩松「そもそも俳優の研究生で
 演出してくれと頼まれて、
 本の1冊書いて辞めようと思って、、、
 4つ肩書、できますよね。」
田名部「私は岩松さんとは
 劇作家がファーストタッチ。演出、俳優と続きます。
 岩松さんが出演しているCMを入手しました。」
 
 
大阪ガスのCMをスクリーンに映す。
 
 
岩松「撮ったのは2,3年前になるんですね。
   関東でやってないので
   関東の人が関西に来てたまたまこのCMを見て
   岩松さん、大阪ガスのCMやっていますねって言われるんですが、
   言葉を濁しているんですよ(苦笑)。」
  「都会人になりたくて
   (東京外国語大学に進学)
   クラスに演劇部に入った人が居て
   次の日、演劇部に、、、
   六本木の自由劇場に入って
   1年で飽きたんです。辞めたんです。
   友だちから演出してくれと頼まれて。
   僕が頼まれた劇団が東京乾電池。
   東京乾電池が人気劇団になって、
   高田順次、柄本明、ベンガルなど、
   『笑っている場合ですよ』に出ていました。
  「34歳で『お茶と説教』を書きました。
   同じ町内3ケ所のお話。
   町内劇シリーズ。
   柄本明に「次、何のシリーズしようか?」って
   聞かれて出来たのが
   お父さんシリーズ。
   『蒲団と達磨』
   前はサブタイトル「お父さんの〇生活」(筆者・伏字にしました。)とついていたんです。
   達磨はお父さんが座っているイメージです。
   そんなに書き加えていない。
   30年前のまま上演。」
田名部「私は1991年の竹中直人の会がファーストタッチでした。」
岩松「コントは与える作業。
   与えるのはもったいない。
   『蒲団と達磨』は夫婦の生活。
   夫婦ってほとんど会話しなくなりますよね。
   「水道の蛇口が閉まっていない」とか
   「新聞を開くたびに音がする」とか
   そんなのは問題じゃない。
   水面下にあるものが問題。
   終わった時に問題が残っている。」
田名部「岩松さんの脚本は
    役者さんが舞台に出てきたとき
   どんな役か
   最初は分からないですよね。」
岩松「舞台に登場したときに
   お姉さんです。お兄さんです。と分かると
   テンションが下がる。
   隠していた方が面白い。」
  「言葉はウソかもしれない。
   行ったことが真実だ。」
  「例えば
   登場人物が
   「戦争で満州に行った」と言うとする。
   ウソかもしれない。」
田名部「岩松さんの作品は
   静かな演劇と総称されていましたね。」
岩松「ある夜
   妻が夫を殺した。
   その日スーパーで仲良く買い物をしていた。
  スーパーで買い物をしていた時に殺意が無かったとは言えない。
  「あの魚 新鮮だよね。」とか
  (他の人に)「あっ、こんにちは。」と挨拶していたときに
  殺意があったかもしれない。
  事件は分かりやすくするために起こる。
  事件が起こっていない時間の方が豊かだと考える。
  隠されている事件の方向性が分からない時の方が面白い。
  停滞した時間に思える停滞していなかった時間。」
田名部「ご自宅ではどうなんですか?」
岩松「家ではしゃべらないですね。」
  「夫婦は面白い。 
   子どもから見たら親。
   夫婦は他人。
   他人同士が同じ空間で過ごしているのが
   面白い。
   夫婦が目を合わさないのは人間の知恵ですよ。」
田名部「岩松さんの作品は美人が出て来ます。
   『シブヤから遠く離れて』は小泉今日子さんが出ています。」
岩松「2004年初演が嵐の二宮くんと今日子さんだった。
   蜷川さんの演出。
田名部「2016年は岩松さんの演出。」
 
舞台写真を見ながらストーリー解説。
 
田名部「厳格化しない愛の物語とト書きに書かれています。」
岩松「二宮くんが出るのは分かっていたので
   二人並んでいい感じになるようにしました。」
 
田名部「『薄い桃色のかたまり』が
    この度鶴屋南北脚本賞を受賞されました。
   おめでとうございます。(客席拍手)」
岩松「『薄い桃色のかたまり』は
   蜷川さんが主催するお年寄りの劇団ゴールドシアターに為に書下ろして、
   その後埼玉ネクストシアターで若い人の出演者でした。
   『少女ミウ』と
   『薄い桃色のかたまり』は両方とも福島のお話。
   ミウのお父さんは東電の社員。
   ミウは当事者がしゃべらないけど外部の人がしゃべる。」
岩松「ピッコロの方から
   『蒲団と達磨』を依頼されました。
   『アイスクリームマン』をと自分からは提案したんです。
   若者の群像劇です。」
田名部「この前、大阪に来たドラマシティでの
   『市ケ尾の坂』を拝見しました。」
岩松「26年前の作品です。」
田名部「この場でチケット購入の方は
    ミニポスターにサインをしていただけます。」
 
4:30終了
 
私は
『蒲団と達磨』を
初日の18日に拝見させてもらいました。
このトークイベントで聞いた通り、
登場人物は
どんな立場の人間か?
分からないまま物語は進行しました。
 
私が
高校の演劇部だったとき、
国語教師であり、
劇作家でもある顧問の先生が
演出しているときに
登場してから
すぐ
どんな人物で
名前が何なのか?
観客にすぐ分からせないといけないと指導していたことを
思い出しました。
 
例えば
第三者に
「兄さん」と呼ばれたり、
「〇〇さん!」と声を掛けられたり。
 
『蒲団と達磨』は
登場人物が
どんな立場が分からないまま演劇が進行していくので
居心地の悪さを感じながらも
頭はフル回転して
お芝居を理解しようと必死になっていました。
 
最近
だれの何某と浄瑠璃で語ってくれたり、
お芝居でも自ら「〇〇〇〇」と
自己紹介から入る歌舞伎を見ていたので
『蒲団と達磨』は
とても新鮮でした。
 
面白かったですよ。
 
 
7月22日まで上演中です。
 
「いくら娘の結婚式だからって、
日付が変わるまで
黒留袖
ずっと着てないやろ?」
とツッコんだり、
 
「18禁にしなくていいのか?」という事は
 
声に出して言いません。
(ってネットに書いてるやん!)
   
古典芸能案内人
天野光(アマノヒカル)でした。
 
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