一昨日、
松竹座の夜の部を
見てきました。
演目は
・将軍江戸を去る
・口上
・封印切
・棒しばり
でした。
ここでは、
「封印切」にフォーカスして、
書かせていただきます。
文楽では「冥途の飛脚」、
歌舞伎では「恋飛脚大和往来」を
見るたびに、
私は、
心の中で、
「梅川、
止めとき!
忠兵衛は、
公金を横領した罪人やよ。
別の男性と一緒になり!」
と繰り返してたのですが、
少し資料を読んだり、
イヤホンガイドを聞いたりして、
なぜ、
目前に死が迫っている結婚を
梅川が選んだのが、
わかってきました。
花街の女性にも
ランキングがあったそうです。
梅川は「下級遊女」だったのです。
もし田舎大名の方が、
忠兵衛より先に身請け金の支払いをしてしまっていたら、
好きでもない田舎大名に身を委ねなければならない状況でした。
他人のお金を横領してしまった忠兵衛ですが、
自分のために
犯罪を犯してまで、
身請けをしてくれたのです。
3日しか、妻として生活できない恋を
選ぶ理由がわかりました。
「恋飛脚大和往来」は
「冥途の飛脚」の改作なので、
文楽と違うところがたくさん見つかりました。
・歌舞伎では、大名屋敷にお金を届けずに、
なぜ忠兵衛が新町にやってきたきっかけが、
よくわかりました。
「梅川から手紙を受け取った」のがきっかけ、だったのです。
・井筒屋裏の場面が歌舞伎にはありました。
文楽には、ありませんでした(2015年1月国立文楽劇場の公演では)
・井筒屋に新町の置屋を管理している槌屋治右衛門が、座っていました。
・八右衛門は、忠兵衛から梅川を横取りしようと、
お金を見せびらかせて「梅川の身請け」をしようとします。
文楽の八右衛門は、井筒屋で、忠兵衛のやっていることを暴露しただけで、
自分が身請けをしようとはしていませんでした。
・八右衛門が井筒屋を出るときに、
「忠兵衛が封入を切った証拠」を手に入れようと、
わざと手ぬぐいを落とし、封印の紙の切れ端を拾う。
・八右衛門が井筒屋の戸を開けて帰るときに、
「総スカンの八右衛門」と自分が嫌われ者だと自覚したセリフを言います。
・井筒屋に治右衛門が、居合わせたので、
身請けのお金をすぐ支払い、
梅川は、その場で年季証文を受け取ることができ、
忠兵衛と梅川が井筒屋を出るまでが
スムーズであった。
文楽では、
身請け金の支払いから門出(もんで、郭の大門を出ること)まで、
時間をかけて、
忠兵衛と梅川の心の揺れが描かれています。
以上
思いつくまま
書かせていただきました。