「清衡は歴史上の人物としてはマイナーですが、震災後の今だから、上演する意味がある。ゼロからの復興を目指し、東北の地にくいを打ち込む姿に、メッセージを込めます」
カサラ(新妻聖子)率いるコロスが、歌と踊りで物語の進行役を担い、戦乱シーンでは立ち回りで軍勢を表現。美しい日本語にこだわった脚本(木内宏昌)で、俳優の演技力だけで観客の想像力を刺激する、シンプルな舞台を目指す。
愛之助が特に喜ぶのが、平幹二朗(80)との初共演だ。平は東北の古代神アラハバキ役で、権力欲につかれたイエヒラに眠りを覚まされ、その魂を預かる。「うれしい。台詞(せりふ)と表現力は、まさしく神様。大きい」と表情を緩める。
昨年放映されたドラマ「半沢直樹」(TBS系)のオネエキャラで一躍人気者になり、今年は映像や新作舞台での活躍が目立つ。4月も三谷幸喜作・演出の新作舞台「酒と涙とジキルとハイド」に主演。オヤジギャグ連発の堅物博士役で、新たな横顔を見せた。
「いずれも『半沢』出演前から決まっていた仕事。(外部の仕事は)特に歌舞伎の新作に生かせるものがいっぱいある」。歌舞伎が基本の姿勢は変わらないが、「ミュージカルもしたい」となお意欲的だ。
31日まで、東京・渋谷のシアターコクーン。問い合わせはサンライズプロモーション東京(電)0570・00・3337。愛知、広島、兵庫、岩手公演あり。
「見たことのない舞台に」 愛之助主演「炎立つ」 東北に楽土再び